なぜこんな事になってしまったんだろう・・?

俺の膝の上で横たわる恋人、日野 香穂子を眺める。

すぅすぅと静かな寝息をたててる彼女に出るのはため息ばかりで。

「いったい俺にどうしろと言うんだ?」

誰に話し掛けてるって訳ではなく・・ただの独り言が虚しく響き渡った。





=Sweet? or Bitter?=





「はい、蓮くん。ハッピーヴァレンタイン!!」

放課後 練習室で香穂子が嬉しそうに紙袋を俺に差し出す。

「ヴァレンタイン・・?」

「あれ・・? まさか、蓮くんったら今日がヴァレンタインってこと気付いてなかったとか?」

香穂子の言葉に今日がヴァレンタインだということに初めて気付いた。

今日が2月14日だとは知ってたがそれがヴァレンタインとは結びつかなかった。

「もう・・蓮くんらしいって言ったらそうなんだけど・・他の女の子からも貰ったでしょ?」

ちらっと上目遣いに俺を見上げる彼女のその瞳からは少しの不安がうかがえた。

「あぁ・・そう言えば何人か来たが知らない人から貰う理由もないから断ってたんだが」

俺の返答に心なしか安堵したのか「もう・・仕方ないなぁ」と言いながらも香穂子はにっこり微笑んだ。

「あ! ねぇねぇ その中身見てみてよ」

彼女からせかされてプレゼントの袋を開ける。

中には綺麗にラッピングされた包みが2つ

「ここで開けても?」

「うん、開けて 開けて!」

嬉しそうに俺の手元を見ながら笑ってる彼女が可愛くて。

丁寧に包まれた包装紙を破らないように慎重に開く。

中から出てきたものは暖かそうな手袋。

「これ・・香穂子が?」

「うん、初めて挑戦したから上手とは言いにくいけど・・どう・・かな?」

俺の為に一生懸命編んでくれていたんだろうと想像するだけで嬉しさが込み上げてきた。

「とても嬉しい。 どうもありがとう」

早速その手袋をつけてみる、ふんわりした毛糸の柔らかさと暖かさが俺の手にフィットする。

「これは?」

紙袋の中のもう1つの包みを取り出す。

「あ、それはね やっぱりヴァレンタインってチョコじゃない? でも今年は手袋に時間がかかっちゃって・・

チョコまで手作りできなかったの。 でもチョコもあげたかったから・・」

チョコの包みを広げ箱を開ける。

色々な形や色をしたチョコレートがふわっと甘い香りを放つ。

「ここのは甘さ控えめだから蓮くんも大丈夫だと思うんだ」

甘いモノがそんなに得意じゃない俺に、そんなちょっとした心遣いが嬉しい。

「じゃぁ、一緒に食べないか?」

「え? いいの?」

「1人でこの量は食べきれないし、それに・・香穂子がものすごく食べたそうな顔してる」

すこしからかいじみた事を言うと「そんな事ないもん!」とぷぅっと頬を膨らませる。

予想通りの反応に笑いが込み上げてきそうなのを必死に我慢する。

「いらないのか?」

「・・・・いただきます。ほんとはね、これ新作だったから食べてみたかったんだ」

そう言って照れながら笑う彼女。

箱の中から1つ つまみ口の中に入れる。

香穂子の言う通り少し苦めのチョコは口の中ですぐ溶けた。

「おいしい・・ありがとう」

「いいえ、良かった。蓮くんも食べられそうだね・・じゃぁ私もいただきまぁす」

嬉しそうに箱の中から1つ取り口の中に入れると「美味しい!」と顔を綻ばせる。

他愛もない話をしながら二人でチョコを食べている、そんな彼女を見てるだけで楽しかった。

そんな時だ、突然 香穂子の様子がおかしくなったのは。

「蓮く〜ん・・・好き〜」

いきなりきゅーっと俺に抱きついてきた。

「か、香穂子?!」

いつもなら絶対に恥かしがって自分から好きだとか抱きついたりとかはしないのに。

「蓮くん・・好き、大好き」

そう言いながら香穂子の唇が額、頬、鼻そして・・唇に落ちてくる。

初めての香穂子からのキス・・信じられないような思いで受け止める。

この甘さはチョコレートの甘さなのか、それとも香穂子自身の甘さなのか・・

そして彼女の唇が俺の首筋まで降りてくる。

ドキッとした瞬間・・俺の耳元に聞こえたのはすぅすぅという息遣い。

「・・・え? か・・ほこ?」

何の事はない・・俺の首筋に顔を埋め彼女は寝ているのだ。

「おい・・ なんなんだ・・?」

静かな寝息と共にかすかに香るにおいに嫌な予感が頭をよぎる。

「まさか・・」

香穂子からもらったチョコを1つ食べる。

「酒か・・」

香穂子が食べていた列の中にはウィスキー・ボンボンが紛れていて。

どうやら彼女はこれを食べて酔っ払ったらしい・・

「はぁぁぁぁ・・・」

少し赤らんだ顔をした彼女を俺の膝の上に静かに横たえ、自分の制服をかけてやる。

「・・れ・・・んくん・・す・・き・・」

寝言を言いながら微笑む香穂子。

「きっと起きた時は何も覚えていないんだろうな」

そんな彼女の寝顔にそっと唇を落とす。

「まぁ・・こんな事そうそうある事じゃないし・・」

香穂子の寝顔を眺めながら幸せを噛み締める。

そんな時間もたまにはいいじゃないか・・

「いつも君には驚かされるな」

眠ってる香穂子が笑ったような気がした。













えへ、またいただいちゃいました
愛玩少女』のノエ様宅から奪取です



いくら気に入ったからって、1度に4つも攫ってくるってどうよ?
でもステキなんだもの〜 我慢できなかったんだもの〜vv
そしてちゃっかり今年のバレンタインを狙ってUPしてみたり(笑)

これで今年のバレンタインは終わりかなぁ(おい)
月森くんでなんか描いてみたいぃ〜vv(≧w≦)vv




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