「もう! 和樹先輩なんて知らない!」

「え? か、香穂ちゃん?!」

あたふたしている先輩を尻目に私は逃げ出すようにその場を後にした。




=ウサギさんにKiss Chocoを=







「和樹先輩のばかぁぁ」

せっかく昨日の夜遅くまで頑張ってチョコレートケーキ作ったのに・・

昨日遅かったから朝準備が戸惑ちゃって

先輩を待たせるわけにはいかないから家まで迎えには来てもらわなかった。

だけど、先輩に会ったら1番にこのチョコレートケーキを渡そうと思ったのに・・

それなのに!!

「あ〜 香穂ちゃん、おはよ! 今日バレンタインだったんだねぇ。俺、さっきこれ貰って気付いたよ」

って・・・満面の笑顔で言った先輩の手には綺麗にラッピングされたチョコレート・・

その笑顔と言葉を聞いてショックと怒りが一気に込み上げる。

そりゃぁ他の女の子からチョコを受け取るなとは言わないよ?

そこまで和樹先輩を縛ろうなんて思ってない。

だけど・・だけどね・・

「やっぱり、1番に私のチョコ貰ってほしかったんだもん」

今日真っ先に手にするチョコは私のチョコであってほしかった・・

一応・・これでも私が先輩の彼女なんだもん・・

「だいたい先輩って女心を分かってない!普通自分の彼女に他の人から貰ったチョコを笑顔で見せる?」

いつもなら大好きなあの笑顔も今だけは思い出したくもない。

気付けば始業のチャイムが鳴り響く。

今更、教室に戻る気にもなれないし・・私は屋上で時間を潰すことに決めた。

「う〜・・もういい・・授業なんてさぼってこのケーキ私が食べてやる!」

リボンを解き、箱を開ける。

白いパウダーシュガーがかかったガトー・ショコラ

瞬間、ふわぁっとチョコの甘い香りが広がる。

「はぁ・・頑張ったのにな・・」

おもむろに手で掴み、ケーキを口に入れる。

「おいしい・・のに・・おいしくないよ・・」

少しビターなケーキはまるで私の心のようだ。

そして・・箱の中身はからっぽになった・・

なぜか私の心も少しだけ落ち着きを取り戻す。

「はぁ・・全部食べちゃった・・・」

ケーキを全部食べ終わったと同時に、屋上の扉が開く。

「香穂ちゃん!」

息をきらせた先輩が私の前に膝まづく。

「ごめん・・ごめんね」

和樹先輩の第一声は謝罪の言葉だった。

さっきまでの明るい笑顔はそこにはない。

私はそんな先輩に1つ質問をする。

「ねぇ・・先輩? なんで私が怒ったか分かりますか?」

「え?」

「なんで怒ったか分かってます?」

その理由が分かってないのならいくら謝られても哀しいだけ・・

「・・・・ごめん。ほんとは香穂ちゃんが怒ってる理由分かってない。だけど・・そんな哀しそうな顔をさせたのは
俺だから・・」

だから・・謝るしかできないよ・・って私より先輩の方が泣きそうな顔して私の顔を覗き込む。

「どうして怒ってるのか教えて?・・・」

かすれた声で・・そんな目で見られたらなんだか私のほうが悪い事しちゃったみたいに思えてくる。

その目に弱いの知ってるのかな・・・

「あのね・・和樹先輩が私のチョコよりも先に他の人のチョコを貰って喜んでたから・・」

私の我侭かもしれないけど・・やっぱり1番に私のチョコを貰ってほしかった・・

素直に自分の気持ちを先輩に伝える。

そしていきなり、先輩が壁を背にずるずると座りこんだ。

「和樹先輩!?」

先輩は はぁっとため息をつき、自分の頭をくしゃくしゃとかきむしる。

「ごめん!ほんとにごめん! 俺って最低だよね、香穂ちゃんの気持ち分かってあげられなくて・・」

ほんとに俺って女の子の事分かってなくて・・ごめんって何度も謝ってくれる先輩が今にも泣き出しそうに見えた。

「もういいですよ。 分かってくれたなら・・」

「ほんとに?ほんとに、許してくれる?」

上目遣いに私を見上げる先輩を許さないわけにいかないじゃない・・ほんとに先輩ってずるいなぁ・・

「ほんとですよ。だけど・・・先輩にあげるチョコレートケーキはもうないですからね」

先輩がぱちぱちと数回瞬きをする。

「え・・・・ないの・・?」

「はい、ついさっき私が完食しました」

今度は私がにっこりと笑う。

これくらいの意地悪・・してもいいでしょ?

「ねぇ・・香穂ちゃん・・今の俺の気持ち分かる?」

数秒置いて今度は私が先輩から質問をされる。

「先輩の気持ち・・ですか?」

うん・・と寂しそうに頷く和樹先輩。

「えっと・・食べたかったなぁ・・とか?」

ふいに先輩に腕をつかまれ引っ張られる。

目の前には先輩の哀しそうな瞳が写った。

「俺、今ね・・・すっごいウサギになった気分」

「う・・うさぎ・・?」

「そう・・ウサギ・・うさぎって寂しいと死んじゃうって言うじゃない・・?」

俺の今の気持ちはまさしく寂しくて死んじゃいそうなウサギだよ〜って瞳をうるますから・・

「もう・・先輩ってほんとに・・・」

ずるいよ・・だけどその言葉は声にはならない

私がそっと先輩の唇に自分の唇を重ね合わせたから。

一瞬のKiss・・・

「これが私からのバレンタインのプレゼント・・ですからね」

いきなりの私からのプレゼントに先輩も呆然としていたけれど・・

「香穂ちゃん、ありがと!!」

幸せそうにとろけそうな笑顔で私をぎゅぅっと抱きしめてくれた。

「それから・・・香穂ちゃんのキスはチョコの味だった」

嬉しそうに笑う、うさぎさんにキスのチョコを・・

これも・・彼女だけがあげられるバレンタインのプレゼント・・だよね?













ノエ様、ありがとうございます
美味しくいただきました…

甘いですね〜 勝手にやってなさいってくらい甘いですvv

バレンタインとは無縁ですごして来た自分には
目の毒になりそうな、ラブラブさですよ

でも好きなの…vv(やめなさい)




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